時間外労働の上限規制とは?
簡単に言うと、言葉の通り残業や休日労働の規制ですね。
働く方改革の目指すもの
「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。決して、早く帰るとか遊ぶ為に行う訳ではないので、目的はしっかりと理解した中で取り組みましょう。
時間外労働の規制
現在日本での長時間労働についての考え方は、健康を確保する事、仕事と家庭の両立をする事、少子化の原因や女性のキャリア形成、男性の家庭参加、これらを実現し易くする事で、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結びつくと考えられています。その一環として、働き方改革の時間外労働の上限が規定されました。単純な事ですね。現在、日本で問題となっている少子高齢化を、家族で協力し合いなくして行こう。その環境を作って行こうと言うのが大きな目的の一つです。
労働時間の定め 月間45時間、年間360時間
労働基準法では、
【法律で定められた休日】 毎週少なくても1回
以上の2点は、労働基準法で定められております。
現在、この労働時間を超えている企業は、殆どの企業で「三六協定」を労働基準監督署への提出を行っております。知らないと言う方が見えられるかもしれませんが、誰か代表者が1名提出すれば良いだけなので、誰かがやってます。この「三六協定」を提出する事で、1日に8時間を超えて残業をしてもらったり、週40時間を超えて残業をしてもらっても、残業代を支払えば可能だったのですが、ここに規制が掛かってきたのが今回の新協定になります。もともと、「三六協定」を結んでいても、原則上限は月間45時間、年間360時間だったのですが、中には、もっと働いてるしと思う方も見えられるかもしれませんが、臨時的な特別な事情があれば、特別条項を付けて、上限を超えた労働も可能でした。例えば、特別な事情があれば、月間で45時間を超え、200時間残業を行うと言う事も事実上可能でしたが、本年4月からの改定で
- 月間45時間を超える事が出来るのは、年6ケ月が限度。
- 時間外労働の年間時間は720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
例えば時間外労働が45時間以内で特別条項にはならない場合であっても、
時間外労働=44時間、休日労働=56時間、のように合計が月100時間以上になると法律違反となります。 - 時間外労働と休日労働の合計について、
「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が
すべて月当たり80時間以内
以上が大きく変わった点となります。特に、特別条項を設ける事由として認められるのは、製品トラブル、クレーム対応など、一時的・突発的なものに限られる。単なる人手不足といった理由では残業させられなくなります。
中小企業は1年間猶予
上限規制の施行は2019年4月1日ですが、中小企業に対しては1年間猶予され2020年4月1日からとなります。
中小企業の範囲については、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者
の数」のいずれかが以下の基準を満たしていれば、中小企業に該当すると判断されます。
なお、事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。
小売業 資本金5,000万円以下 常時使用する労働者数50人以下
サービス業 資本金5,000万円以下 常時使用する労働者数100人以下
卸売業 資本金1億円以下 常時使用する労働者数100人以下
その他
(製造業、建設業、運輸業、その他) 3億円以下 300人以下となっております。
まとめ
時間外労働の規制や働き方改革と言うのは、企業側に取っては非常に厳しいと感じる部分もあるかもしれませんが、働く側に取っても、今まで残業手当を見込んで居た方々に取っては非常に苦しい結果にもなるのではないでしょうか。会社としては法律的な制度で設備投資も必要かもしれませんが、働き側に取っては、設備投資を給料に反映してほしいとも願うものです。どちらにも言える事ですが、過労死含め、体調を悪くしてしまえば意味はありません。すべての方々に取って
「WIN・WIN」の関係を築く上での法改定となっております。協力し合い、日本経済を支えて行きましょう。